着物を完全に着てしまうと、ウィレムのすぐ前を通って、空の隣室を抜け、次の部屋に行かねばならなかった。扉は両側ともすでに開かれていた。この部屋には、Kもよく知っているとおり、少し前からタイピストのビュルストナー嬢が住んでいるが、彼女は非常に早く仕事に出てゆくのがならわしであり、帰りも遅いので、Kとは挨拶以上にたいして言葉を交わしたこともなかった。ところが夜間用の小さな机がベッドのそばから部屋の真ん中に引っ張り出されて審理用の机にされ、その向うに監督がすわっていた。脚を組んで、片腕を椅子の背にかけていた。
 部屋の隅には三人の若い男がいて、壁にかかったマットに留めてあるビュルストナー嬢のさまざまな写真をながめていた。開いた窓の把手には、一枚の白いブラウスがかかっていた。向いの窓にはまた例の二人の老人がいたが、仲間がふえていた。というのは、彼らの背後に、ずっと背丈の高い一人の男が、胸のはだけたシャツ姿で立っており、赤みがかった髯を指でおしたり、ひねったりしていたからである。
「ヨーゼフ・Kだね?」と、監督はきいたが、おそらくはただ、Kのきょろきょろした眼差を自分に向けさせるためであった。Kはうなずいた。
「今朝の出来事できっと非常に驚いただろうな?」と、監督はたずね、そう言いながら両手で、蝋燭とマッチ、本と針床といった、まるで審理に必要な物ででもあるかのように夜間用の小さな机の上にのっている数少ない品物を、わきへ押しやるのだった。
「そうですね」と、Kは言ったが、ついに物のわかる人間に向い合って、自分のことに関して話ができるのだ、という快い感情が彼をとらえた。台東区 保育園 http://www.itamu.de.rs/