「あら、芳ちやん厭だわ」
 をばさんは急いで蒲團をかけた。圭一郎は赧らむ顏を俯向いて異樣に沸騰る心を抑へようとした。をばさんさへ居なかつたらと彼は齒をがた/\顫はした。彼の頭に蜘蛛が餌食を卷き締めて置いて咽喉を食ひ破るやうな殘忍的な考が閃めいたのだ。
 斯うした獸的な淺間しい願望の延長――が千登世の身體にはじめて實現されたのであつた。彼は多年の願ひがかなへられた時、最早前後を顧慮する遑とてもなく千登世を拉し去つたのであるが、それは合意の上だと言へば言へこそすれ、ゴリラが女を引浚へるやうな慘虐な、ずゐぶん兇暴なものであつた。もちろん圭一郎は千登世に對して無上の恩と大きな責任とを感じてゐた。飛んで灯に入る愚な夏の蟲にも似て、彼は父の財産も必要としないで石に齧りついても千登世を養ふ決心だつた。が、自分ひとりは覺悟の前である生活の苦鬪の中に羸弱い彼女までその渦の中に卷きこんで苦勞させることは堪へ難いことであつた。
 圭一郎は、父にも、妹にも、誰に對しても告白のできぬ多くの懺悔を、痛みを忍んで我と我が心の底に迫つて行つた。 高級デリヘル 銀座
書き込みはまだありません。