「そうしろ」
 といいながら、高志が真新しいギンガムチェックの敷物をふりあげ、令子とじぶんにかぶせた。
「おまえも入れ」
 ためらっている慶一の尻を叩くように、周囲の草むらや木立を打つ雨音が高くなり、しかたなく、令子がさしかけた布の端に飛びこんだ。
 丘を大きく迂回する道をとらず、三人はクヌギやカエデのあいだをぬって、ゆるやかな斜面をいく。慶一はじぶんのことより、スカートをはいている令子が心配で、足もとばかりを見ている。
 やがて傾斜が急になり、そこをすぎると、舗装したせまい尾根道に出た。すぐにテニスコートの上にたどりついたが、コートへの急な斜面は、令子にはおりられない。
 尾根道をくだりきると、三人は反転し、ささやかな校門を通って、小庭園に入った。小さなひょうたん池を扼す、短いたいこ橋を越え、石段をのぼっていく。
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